【 家具に使われる木材、樹種について 】



家具には、さまざまな樹種が用いられています。

樹種は多種多様に優れた特徴があり、その特徴を活かし、家具や建築材料、建造物などが作成されています。耐久性、木目の美しさ、加工のしやすさ、安定性など、また、現在では持続可能性といった点も以前より重要視される特徴となっています。

▶︎木材の重視される特徴

▶︎木材の種類

 

 

針葉樹と広葉樹

まず、樹種として第一に分類される「針葉樹と広葉樹」として分け、それぞれを木材として扱う際に注目すべき特徴を見ると・・・

針葉樹は、基本的に成長スピードが速く、真っ直ぐ育ち、長い木材を取る際に重宝されます。また、針葉樹は一般的に木質が軽く軟らかいので 「軟材 (Soft wood)」とも呼ばれています。これらの特徴は、楽に加工を行えるため、柱や梁などの建築材料に多く用いられます。

よく耳にする針葉樹の樹種では、マツやスギが挙げられるのではないでしょうか。 

マツの木の写真スギの木の写真


一方、広葉樹は、針葉樹と比べ、成長に時間がかかることで重く、硬く育つため、「硬材 (Hard wood)」と呼ばれています。重さと硬さに優れた特徴は、強度や耐久性に優れているため、キズが付きにくく、そして、成長の遅さが木目の美しさに繋がり、家具の材料として多く用いられます。

上記のように、木材として区別される際、一般的に針葉樹は建築材料、広葉樹は家具材料と分けて考えられます。

 次に、同じ樹種でも産地によって現れる特徴が異なることをご存知でしょうか。

 

産地の違いと特徴

同じ樹種と考えられていても、その産地が異なると、成長する過程において、それぞれの産地で気温や湿度が異なるため、その特徴も多少異なってきます。例えば、標高の高い山地で育った樹木は、暖かい場所で育つ樹木よりもゆっくりと成長します。成長が遅いことは悪いことではなく、木の細胞が濃密になり、木材としてしっかりとしたものが出来上がるため、用途によっては素晴らしい良材になります。

また、日本産の木材は、後述する北海道産の「ミズナラ」のように、世界的にも評価が高い樹種があり、他の樹種と混同しないようといった理由もあり、家具メーカーは、消費者にどこが産地の木材か区別ができるよう、名称をきちんと分けて表記しています。

日本産・外国産の樹種は、ともに異なる魅力があるため、優劣がつけられるということは全くありません。双方の特徴を理解した上で、目的や用途に合わせて、どの樹種を選択するのかをじっくりと考えることをオススメします。

 

木目の表情

木材の使われる部分や表面の仕上げ方によっても木目は表情を変化させます。

輪切りにした樹木の中心部分である「心材 (赤身)」と周辺部分である「辺材 (白太)」は、耐朽性や硬さといった点で特徴が異なり、用途や樹種によってどちらを使うのか分けています。一般的に心材を木材として使う樹種が多いですが、心材が硬すぎるために加工ができない樹種もあり、辺材のみが使われることもあります。また、心材と辺材の両方が使われる樹種もあります。

木製家具は、表面の仕上げ方をこだわることもインテリアコーディネートにおいて、楽しさの一つです。表面の仕上げ方によっては、同じ木材でも全く異なる印象を持たせます。木の素朴な印象を感じさせるソープ仕上げ、どのような空間にも合わせられるナチュラルな印象で人気のオイル仕上げ、光沢感を魅き出すラッカー仕上げなど・・・。同じ樹種の異なる仕上げ方をそれぞれ比較してみると、それぞれの魅力が見えてきて面白いです。 

オーク材イメージ写真ウォルナット材イメージ写真

CARL HANSEN & SON マテリアルページより引用

 

地球環境に配慮した木材

現在では、家具を作る、購入する際に、その家具が環境に配慮されているかどうかという持続可能性の視点から、家具の木材を選択するという考え方も増加しています。そのため、家具メーカーは「FSC®︎(Forest Stewardship Council)認証」や「PEFC®︎(Program for the Endorsement of Forest Certification)認証」などの、環境保護を目的とする認証を得た森林から木材を調達し、製品を作成するという形で、地球の資源を守ろうと努力し、社会に貢献しています。FSC認証とは、持続可能な森林活用・保全を目的として誕生した、「適切な森林管理」を認証する国際的な制度です。
認証を受けた森林からの生産品による製品には、「FSCロゴマーク」がつけられます。

FSC認証の画像

このFSC認証が与えられる基準としては、森林に関係する世界の利害関係者の声を集め、多様な生物が生息できる豊かな森林か、森林の伐採量を適切に管理しているか、森で働く人々が安心して働ける環境かなど、経済・環境・社会の3つの視点から考えられています。消費者がFSC認証を受けた製品を選ぶことは、適切な森林管理を行う林業者や地域を支援し、その生産品を原材料として使う企業や事業者を支持することになり、世界全体の森林保全へとつながります。

なお、当サイト "キリム屋さん.com" を運営する ロゴバ は、上記のような環境面に配慮した家具メーカーを取り扱っています。

ROGOBAが取り組む SDGs について 詳しくはこちら

 

 

それぞれの樹種の特徴を知っておくことで、その樹種が用いられた家具の素晴らしさをさらに発見できるのではないでしょうか・・・。
家具のカタログを見る際には、広葉樹のどの樹種が用いられているのかを注意してみると、あなたにぴったりの家具に出会えるかもしれません!

 

下記では、家具に用いられる代表的な広葉樹について、日本産と外国産の名称とともに、それぞれの特徴を説明します。
木製の家具やインテリア・アクセサリーを購入される際に、参考にしてみてください!

 

 

 

オーク

オークは、家具・建築材料として一般的で最も需要が多い樹種と言われています。

耐久性や耐水性に優れており、加工のしやすさが特徴です。また、「虎斑(とらふ)」と呼ばれる美しい木目も魅力のひとつです。オークは、世界中に数百種類存在していますが、主な樹種として、アメリカやカナダなどの北米が産地の「ホワイトオーク」と「レッドオーク」が挙げられます。欧米、特に東欧では、長く、ねじれや色むらの少ない良材のオークが採れるため、デンマークでは良材のオークを用いた様々な家具が作成されています。

オークは日本産の場合、「ナラ」や「ミズナラ」という樹種にあたり、「どんぐりの木」として馴染み深いと思われます。特に、北海道産のミズナラは高い品質を持っており、「ジャパニーズオーク」とも言われています。北海道産のミズナラは、イギリスのいわゆる『オーク黄金時代』に輸出されており、アンティーク家具に多用されていたことから、世界で高い評価を得ていたことが分かります。現在では、ミズナラそのものの量が減少してしまったため、稀少な樹種となっています。

 CH337の写真


家具や建築材料だけでなく、ウイスキーやワインを熟成させる樽などにも使われており、人々の生活に長く、身近に存在しています。オークは、表情豊かな木目の面白さという見た目の魅力と、硬く強度が高いため傷がつきにくいという耐久性に優れた魅力が合わさり、家具に用いられる木材として定番な樹種となっています。

CH23の写真

 

 

ウォルナット

ウォルナットは、優れた性質と見た目の美しさからチーク、マホガニーと並び、世界三大銘木の1つです。落ち着いた色味と重厚な木目が、上品さを感じさせ、高級木材の1種として人気が高く、「ウォールナット」や「ウォルナット」と呼ばれています。現代の一般的な家具で用いられているウォルナットは、北米やヨーロッパが産地の「ブラックウォルナット」です。経年変化によって感じられる魅力は色味だけでなく、木目にも表れてきます。当初は全体に馴染んでいた木目も経年変化によって、徐々に分かりやすく、良い意味で主張するようになり、当初とは異なる魅力を感じさせます。

 

アイテーブルの写真

また、使い込むほど、濃いブラウンの色合いからまろやかな深く味のある色合いへと変化していくため、経年変化を楽しめるといった点でも魅力があります。1600年代後半から1700年代初期のヨーロッパ市場では、「ウォルナットの時代」と呼ばれるほど、ウォルナット材の製品の人気が高く、現在でもウォルナット愛好家が世界中にいます。

ウォルナットは日本産の場合、「クルミ」と呼ばれます。家具材料として「クルミ」と表されているものは、大抵の場合が「オニグルミ」という樹種です。このオニグルミは、東北地方や北海道などが産地としてよく知られています。外国産のウォルナットと比べると、優しく、明るい色合いが特徴で、家具だけでなく、インテリア小物などにも用いられています。

 

ウォルナット材で作成されたハンス・ボーリン作の木製オブジェ BOBBY
( ARCHITECT MADE社製 )

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アイテーブルの写真2

 

 

チーク

チークは、上記のウォルナットと並び、世界三代銘木の1つであり、美しい光沢と優れた硬さを持ち合わせており、「木の宝石」と呼ばれることもあります。そして、明るい黄金色から深みのあるブラウンへと色合いが経年変化することもチークの人気が高い理由の1つです。チークは、耐久性や耐水性が非常に高いことから、船の甲板や内装の建築材料としても用いられ、20世紀を代表した豪華客船クイーンエリザベス2号の内装や、かの有名なオリエント急行にもチーク材が使われています。

 

ch327の写真

1960年代から、チークの需要の高まりにより、徐々に天然林が減少してしまったため、現在では伐採が段階的に制限されています。そのため現在では、家具などに用いられているチーク材の多くは、インドネシアで計画的に育てられた樹齢の長いものです。チークには日本産にあたる樹種はなく、全て外国産の樹種となります。

 

チーク材で作成されたハンス・ボーリン作の木製オブジェ DUCK , DUCKLING
( ARCHITECT MADE社製 )

DUCK , DUCKLINGの写真1DUCK , DUCKLINGの写真2



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CH24とCH327の写真

 

 

ビーチ

デンマークで家具に使われる木材の中でも、特に需要の高い木材と言われています。日本産と外国産ともに暗褐色の斑点模様の虎斑(トラフ)が特徴です。表面、内部構造、硬度が均質な樹種なので、木材として加工した際にも、均一な仕上がりが期待できます。表面が均一に仕上げられるため、塗装性も良く、カラー塗装の家具には、ビーチ材を使われることが多いです。


ビーチは日本産の場合、「ブナ」と呼ばれます。ブナは、秋田県白神山地のブナ林がユネスコ世界遺産に登録されていることで有名です。外国産のビーチに比べ、材質は硬く、弾力性に富んでおり、曲げなどの加工に適しているので、曲木家具によく用いられています。

 

ビーチ材で作成されたハンス・ボーリン作の木製オブジェ OSCAR
( ARCHITECT MADE社製 )

osacarの写真1osacarの写真2Oscarの写真


 

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ここまで家具を作成するためによく使われる樹種として、広葉樹の樹種の中から説明してきました。

しかし、針葉樹の中にも、家具に使われる樹種があります。下記では、針葉樹から家具材料として使われるパイン材について、説明します。

 

 

パイン

パインは、優しく温かい色合いと、針葉樹のもつ柔らかさとしなやかさが特徴です。この特徴は、加工のしやすさへ繋がり、DIY用の木材として人気が高くあります。しかし、その柔らかさが原因で傷がつきやすいこともあるので、パイン材で作成された家具などは丁寧に扱わなければなりません。

主に北米や北欧が産地で「レッドパイン(欧州アカマツ)」や「オレゴンパイン」などの樹種が家具材料として使われています。

パインは日本産の場合、「マツ」と呼ばれています。

 

パイン材セブンチェアの写真