“アブラッシュ (ABRASH)” とは、織り上がった布 “キリム” の表面に現れた糸の色の濃淡と糸の太さの大小がつくり出す『織りの風合い』を指す言葉で、キリムの良し悪しを 判断する非常に大切な要素です。
【 ROGOBA KILIM®(ロゴバキリム)は、アブラッシュの宝庫 】
同じ赤でも微妙に色の違う様々な赤い糸を使い、太い糸や細い糸の粒の違いをセンス良く織り込んでいくことで、平面的ではない奥行きを表現することが出来ます。
かつての織り手たちは、遊牧生活の中で必要最低限の糸しか染めないため、キリムを織っている途中で糸がなくなると、新たに糸を染め直すことが通例です。
しかし自然界の中での作業は、同じ原料を使っても、植物の採れる時期や地域・気温によっても微妙に染まり上がりの色が異なります。その色の違いを、むしろ楽しんで織ろうとした遊牧民のセンスが、アブラッシュとなるのです。
つまり、草原を移動しながら自然の中で不安定な生活をし、
暮らしに必要な織物(キリム)も自らが織って自給自足していた遊牧民(織り手)にとって、 アブラッシュは当然のように現れる織りの表情でした。
かつての織り手を知らない後世の観賞者にとっては、
その織りに残された表情は、その織り手を知るための 唯一の手掛かりであり、
その表情を心地良く感じるか? または美しいと思えるか?と言う問い掛けは、キリムの基本的な鑑賞方法です。
その結果感じられたアブラッシュの良し悪しこそが、 キリムの価値を決める重要な根拠となります。
現代キリムである ROGOBA KILIM は、アブラッシュの 楽しさを知るセンスの良い【優れた織り手】が、【素朴な手紡ぎ・天然染料】にこだわり、時間をかけて織り上げた、風合い豊かなキリムです。
またROGOBA KILIM は、 キリム全体から受ける印象が、
いわゆるオールドキリムやアンティークキリムに比べ、 非常に SIMPLE(シンプル)です。
しかし、アブラッシュが生み出す『織りの風合い』(表情)に注目していただくと、
かつてのキリム以上にRICH(リッチ)であることに気づいていただけるはずです。
一点もののROGOBA KILIM には、織り手のセンス「遊び心」や「こだわり」が込められ、
それらは美しく心地良いアブラッシュとして表現されています。そこには、織り手がキリムを楽しみながら織っている風景があります。
さらにROGOBA KILIM のアブラッシュには、時が経つほどに色が美しく変化し、
良質な手紡ぎの糸ゆえに織糸の艶を増す魅力があります。いわゆるキリム全体が『経年美化』を起こします。
現代キリム ROGOBA KILIM の『織りの風合い』(アブラッシュ)は、
センスの良い織り手のアドリブによってこそ生み出されるもので、それはキリムの価値を高める最も重要な要素なのです。