文様について

キリムの文様

 

キリム最大の魅力である「文様」。
文様1つ1つに意味や願いが込められ、また、どのような背景から文様が生み出されるのかに触れ、文様の魅力について説明します。

 

織り手の個性によって生まれる文様 / 時の流れとともに変化する文様 / 女性視点で生み出された文様

織り手の個性によって生まれる文様

キリムを織る女性の写真現地の女性の写真

 

織り手は日々の生活のあらゆる場面から、インスピレーションを受け、その日・その時の気分でキリムを織り上げていきます。
そんな織り手のアドリブから生まれるキリムは、織り手の個性やセンスそのものを表すものになるでしょう。
キリムの文様についても同じことが言え、一見、同じ文様に見えたとしても、織り手によっては、ある文様をデフォルメすることによって個性を出しています。
キリムの織り方が、祖母から母へ、母から娘へ受け継がれる際には、祖母や母が生み出した文様を娘がそのまま受け継いだり、娘のオリジナリティを加えてみたりと様々です。
その結果、1枚のキリムの中の文様1つ1つをとっても、織り手1人1人の個性が現れ、「一点物」のキリムが出来上がります。

 

時代の流れとともに変化する文様

キリムを織る女性の写真2

 

キリムや文様の個性は、時代の移り変わりによって変化しています。

以前は、狼やサソリなどの外敵から羊や家族が襲われてしまう環境にいたことから、外敵を追い払い、身を守るような文様が織られていました。
現在では、トルコの生活環境や自然環境が変化したこともあり、以前ほど外敵を追い払うという意味が込められた文様は織られることが少なくなっています。

このように、現在まで織られてきたキリムがどのように変化してきたのか、今後織られるキリムがどのように変化していくのか、「過去」から「現在」、「現在」から「未来」の過程を長い目で観察していくことも、キリムの魅力の1つとも言えるでしょう。

 

女性視点で生み出された文様

キリムを織る女性の写真3

 

織り手の大半が、女性ということも文様のレパートリーに影響しています。

かつての生活では、男性は遊牧へ、女性は家で、それぞれの仕事を行なっていたため、遊牧へ出た男性が「無事に帰って来られるように」、男性が留守の間に「外敵から襲われないように」、「家族や羊たちが健やかに生活できるように」など・・・
女性ならではの視点で生み出された文様が数多くあるのです。

下記では、魅力で溢れたキリムの最も重要な部分とも言える文様の表す意味や、込められた想い・願いについて、「ROGOBA KILIM」と「Old & Antique Kilim」でそれぞれ解説します。

 

▶︎ROGOBA KILIMで主に用いられる文様

ELIBELINDE( Hands on Hip・女性 ) / Saff( 幸せのありかを示す矢印 ) / Hand( 手 、祖先 ) Flying Birds( 鳥 ) / Tents( テント・家 、羊 ) / Rich Ground & Rich Water( 美しい草原と水が豊富な土地 ) / Eagle( 鷲 、鷹 ) / Water( 流れる水 ) / Evileye( 悪魔の目 、魔除け )

 

▶︎Old & Antique Kilimで一般的に用いられている文様

ELIBELINDE( 腰に手を当てた女性 ) / KOCBOYNUZU( 羊のツノ ) / ASKVEBIRLE SIM( 愛と和合 ) / EL , PARMAK , TARAK( 手 、指 、櫛 ) / KUS( 鳥 ) / SOYOLU( 流れる水 ) / CENGEL( 鍵 、鉤 ) / NAZARLIK( 悪魔の目 、邪視 ) / KURTAGZI , KURTIZI( 狼の口 、狼の足跡 )

 

 

▶︎ROGOBA KILIMで主に用いられる文様

ELIBELINDE( Hands on Hip・女性 )

エリベリンデ文様の写真

 

ELIBELINDE( エリベリンデ )とは、トルコ語で「腰に手を当てる」という意味です。アナトリアの母神に由来する女性を象ったこのモチーフは、母性と子宝のシンボルとして用いられます。『安産・多産』の意味が込められています。また、作物や家畜の『豊穣』を願う際にも用いられます。( アナトリア:小アジアを指す古代地方名であり、トルコのアジア部分を指します。トルコ語では「アナドル( Anadolu )」と呼ばれています )

この女性を表す文様は、Old & Antique Kilimでも一般的に用いられ、現代まで永く受け継がれています。 

 

Saff( 幸せの在りかを示す矢印 )

saffの文様の写真

 

“ 幸せの在りかを指し示す矢印 ” の集まりである “ Saff( サッフ )” は、人々を幸せな方向へと導く伝統的な文様です。居場所を常に変え移動して生活する遊牧民にとって、迷うことなく常に正しい方向・進むべき方向“幸せが見つかる方向”を知っていることは、非常に大切なことです。日常的に迷いの無い安心できる状態でいることが、人々の切実な願いなのです。

 

Hand( 手 )

ハンド文様の写真

 

 手の文様は、その中の幸せなエリアに羊を襲う狼やその他遊牧民の生活を脅かす様々な邪悪なモノが入らないようにと願い、 “ 鬼は外 ”を願う気持ちを表現しています。さらに、その手がたくさん並べられているのは、祖父母、父母、夫と私、子、孫が連綿と豊かで幸せな遊牧生活を続けて、『子孫繁栄』してゆくことを願うものです。
この手の文様は、Old & Antique Kilimでも一般的に用いられ、現代まで永く受け継がれています。

 

Flying Birds( 鳥 )

FlyingBirds文様写真

 

自然の中で生活する遊牧民にとって、『木の実を求めて空を飛んでゆく鳥』 と出会うことは、自分たちが生きてゆく上で最も大切な『水』と、 羊の餌である『草木』の繁茂する場所を教えてくれることから、重要な意義をもっていました。遊牧民はこの飛んでゆく鳥を『幸せを見付け、幸運をもたらす』素敵な文様として好んで織り続けてきました。

 

Tents( テント・家 )

tentの写真

 

全面にちりばめられた三角形のポイントは、草原の中の遊牧民のテントを表現しています。また、その周りに広がる黄色のグラデーションで表現された地模様(アブラッシュ)は、豊かに繁茂した草原を表現しています。つまり、このキリムは、豊かな草原の中で、『豊かで充実した遊牧生活が送れますように』と願う一枚なのです。

 

Rich Ground & Rich Water( 美しい草原と水が豊富な土地 )

人生の文様画像

 

水平線の集まりは、遊牧民にとって大切な豊かな草原、豊かな丘を表現し、波の曲線は大地に豊かな水があることを願っています。ROGOBAでは、『この豊かに続く草原と豊富な水のように、豊かな人生が送れますように』と願うことから、この文様のキリムに『人生』という愛称をつけています。

 

Eagle( 鷲 、鷹 )

eagleの文様の写真

 

猛禽類の王とも言われる“ 鷲( ワシ )”が羽を広げ大空を舞う様子を、羽に象徴させた文様です。遊牧民にとって家族同様に大切な羊などの家畜が、鷲や鷹に襲われないよう願うもので、特に、鷲や鷹が多く生息する山岳地域に暮らす部族が多用します。また、その“勇猛さ”が転用し、『勝利・成功』『繁栄』を願って織られる場合もあります。

 

Water( 流れる水 )

水の文様画像

 

ジグザグの文様は人間の生活の中で最も大切な水を表しています。遊牧民が生活する大地・草原に『水が豊かであること』を願う文様です。また、その豊かに流れる水のように、『幸せや命(子孫)が長く続いてほしい』という願いが込められています。
この水の文様は、Old & Antique Kilimでも一般的に用いられ、現代まで永く受け継がれています。

 

Evileye( 悪魔の目 、魔除け )

Evileye文様画像

 

邪悪なものを睨みはね返す『魔除け』として用いられる文様で、第三者によって引き起こされる危害や障害、不幸、死などの災害を取り除くといった意味が込められています。
この悪魔の目の文様は、Old & Antique Kilimでも一般的に用いられ、現代まで永く受け継がれています。

 

ロゴバキリム画像

 

ROGOBA KILIMでは、シンプルでありながらも、長く愛されてきた伝統的な文様が織られています。

文様やアブラッシュ(糸の色の濃淡・太さの大小がつくり出す風合い)の変化を観察すると、キリム1枚ごとにそれぞれの物語が詰まっていることを実感いただけるのではないでしょうか・・・!

 

▶︎Old & Antique Kilimで一般的に用いられている文様

ELIBELINDE( Hands on Hip・女性 )

 

ELIBELINDE( エリベリンデ )とは、トルコ語で「腰に手を当てる」という意味です。アナトリアの母神に由来する女性を象ったこのモチーフは、母性と子宝のシンボルとして用いられます。『安産・多産』の意味が込められています。また、作物や家畜の『豊穣』を願う際にも用いられます。( ※ アナトリア:小アジアを指す古代地方名であり、トルコのアジア部分を指します。トルコ語では「アナドル( Anadolu )」と呼ばれています )

この女性を表す文様は、ROGOBA KILIMでも主に用いられ、現代まで永く受け継がれています。

 

KOCBOYNUZU( 羊のツノ )

 

 

羊のツノが三日月型に表されたモチーフです。「多産( 豊穣 )」や「英雄的な強さ、権力、男らしさ」なども表します。

また、羊は遊牧民の財産であることから、「財産や富」「繁栄」を意味しています。羊が増えることで羊毛が多く取れ、自分たちの生活が豊かになる。そして、一族の富が増え、繁栄することを願い、この文様を織り込みます。

 

ASKVEBIRLE SIM( 愛と和合 )

 

 

極東アジアからアナトリアに伝わったモチーフで、一般的に 「陰陽」を表す” Ying-Yang ” として知られています。男性を表すモチーフを連続して描くと、その男性のモチーフの間に自然と女性を表すモチーフが浮かび上がってきます。そこから、「男女の愛」と「和合」として表現されます。
このモチーフは2つの色で構成されますが、アナトリアの文化において、偶数、特に” 2 ”という数は「生殖」や「豊穣」を意味し、キリムの文様の場合においても同じ意味が込められます。この愛や和合を表す文様は、ROGOBA KILIMでも主に用いられ、現代まで永く受け継がれています。

 

EL , PARMAK , TARAK( 手 、指 、櫛 )

 


5本の指や5つの点で構成されたモチーフですが、織り手や時代によっては3本指や4本指などにデフォルメされているものもあります。
5という数、例えば手の指の数が邪悪なものに対して防御の役割を果たすという、アナトリアの信仰に基づき、手のモチーフは「魔力や邪悪に対するもの」として用いられています。
櫛のモチーフの場合は、「出産や結婚のお守り」とされます。この手・櫛の文様は、ROGOBA KILIMでも主に用いられ、現代まで永く受け継がれています。

 

KUS( 鳥 )

 


鳥の文様には「幸福」「楽しみ」「自由」といった、様々な意味が込められています。
遊牧民は、鳥が飛んで向かう方向には、植物( 木の実 )があり、羊の餌となる草木と、生きる上で非常に重要な水がある場所を示しているということを知っています。その知恵が「幸せを見つけ、幸運をもたらす」文様としてキリムに織り込まれます。

 

SOYOLU( 流れる水 )

 


人間の生活の中で最も大切な水を表すモチーフです。水の文様は、川の流れや雲、花瓶、水差しのモチーフなど様々な形がありますが、それぞれ形は異なっていても、すべて同じ意味を表しています。
この水の文様は、ROGOBA KILIMでも主に用いられ、現代まで永く受け継がれています。

 

CENGEL( 鍵 、鉤 )

鍵 、鉤 のイラスト

 


自分自身や大切なもの( 財産である羊 )、家や家族を守るために、「鍵をかけ、邪悪なもの( 悪魔や狼 )を中に入れないように」といった意味が込められている文様です。
この鍵の文様は、ROGOBA KILIMでも主に用いられ、現代まで永く受け継がれています。

 

NAZARLIK( 悪魔の目 、邪視 )

悪魔の目 、邪視

 


邪悪なものを睨みはね返す「魔除け」として用いられる文様で、第三者によって引き起こされる「危害や障害、不幸、死などの災害を取り除く」といった意味が込められています。

 

KURTAGZI , KURTIZI( 狼の口 、狼の足跡 )

狼の口 、狼の足跡イラスト1

 



遊牧民が育てる羊や牛( 特に子を身ごもった羊や牛 )が、「狼から襲われないように羊たちを守る」という意味が込められています。アナトリアでは、野生の強暴な動物が「怪物」と信じられており、その怪物は狼やヘビを指しています。その狼やヘビを追い払い、財産である羊を守るために織り込まれる文様です。