トルコのオールドキリム。
このキリムは、“アンテプキリム” と呼ばれるもので、ユニークなコレクションです。全体的に色鮮やかで華やかな印象を与えてはいますが、既に織られてから70年程度は経っていると考えられます。
ところで、アンテプ(Antep)とは、現在のガーズィアンテプ(ガーズィアンテプ県の県都)をさし、ガーズィアンテプ県はトルコ南部に位置する地域で、シリアとの国境に接しています。
この地は、古くはヒッタイトの都市として、またシリアとの交易の中継地として栄えました。現在は、農業と畜産が盛んで、特に農業ではピスタチオが有名です。ピスタチオのことをトルコ語でAntep fistiği(アンテプのピーナッツ)と呼ぶほどです。また、畜産では今尚羊の飼育が盛んです。
このキリムは、織りの得意なクルド人遊牧民が移動生活に適した幅の狭い機(はた)で織ったキリムを、2枚接(は)いでつくったものです。つまり、巾約70㎝のキリム2枚を、デザインを左右反転(ブックマッチ)させ、非常に美しく中央で縫い合わせています。また、このキリムは縦糸にコットンを使用しているため全体が柔らかく、心地よい感触が得られるのも、このキリムの大きな特徴と言えます。
全体は、三角形の連続文様で構成された綴織部分(キリム)と、菱形文様(イーヴィル・アイ:邪視)の連続する刺繍部分(ジジム)で構成され、それらが織り手のセンスで美しく配色されることによって、見る者をまるで現代アートを観賞しているかのような気分にさせてくれます。
楽しいおとぎ話の世界へ誘う抽象絵画のようでもあり、大変ユニークな一枚です。
サイズ的には、リビングのソファーなどと合わせてお使いいただくか、床に置く絵としてお使いください。空間をとても華やかに演出してくれます。
※ 最後の写真でコーディネート使用している椅子は、デンマーク[ハウス オブ フィン・ユール社]製の“リーディングチェア”(Finn Juhl / 1953)です。
撮影場所:ロゴバ東京